なのの頭のなか

哲学したことを書き残します

愛情と情の違い

交際関係が続いていると、ある日を境に愛情が情に変わることが多々あると思います。

 

「この人のこういうところが好き」、「この人と一緒に人生を歩んでいきたい」、そう思うことがあればそれは愛情でしょう。

 

でも、「今別れたら相手がかわいそうだからとりあえずお付き合いを続ける」、「ひとりになるのがさみしいから交際関係を維持したい」など、別れることによって起こるデメリットを避けたいがために交際を続けるのは、いわゆる情によるものだと思っています。

 

情けで付き合い続けていると、常に思考がデメリットに偏り、だんだん相手の嫌なところ、不満なところ、イライラするところが目につきやすくなります。そして徐々に自分本位の考え方に陥り、すれ違いや喧嘩、言い争いが頻発するようになります。

 

愛があれば、相手の嫌なところもその人の個性として受け入れることがてきるでしょう。ですが情けを抱えた状態だと、相手を受け入れる器の大きさが縮んでしまい、今まで許容できていたことが許せなくなります。

 

愛情が情に変わったとき、それはふたりの縁の切れ目だとぼくは思います。

相手に情けをかけるとめぐりめぐって自分のところへいい出来事がやってくるという意味で「情けは人のためならず」ということわざがあります。

 

恋愛においては、このことわざは通用しないのではないでしょうか。

情けで繋がった関係は言わばぬるま湯に浸かって抜け出せない状態です。これではお互いの貴重な時間を浪費してしまうことになります。それは本当の幸せでしょうか。

 

それぞれ別の人生を歩み、新たなパートナーを見つける機会を奪い合うのは、本当の愛ではない気がします。

 

高齢社会の現在、熟年夫婦をよくテレビで見かけることがあります。彼らはときには口が悪くお互いのことをけなしあっているような情景が放送されがちですが、根底では長年育んできた愛情があるのではないでしょうか。息子や娘が結婚したときのこどもに対する愛情、初孫を抱いたときの愛情など、パートナーと一生を過ごすなかで、愛情をうむイベントが人生にはたくさんあります。

 

足を引っ張りあい、どちらも損をする関係性は悲しみしか生み出しません。

お互いの愛情を確かめあいながら、それが情に変わらないように切磋琢磨することが本当の愛ではないでしょうか。